まず、耳を作ろう

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bullet2つのディクテイション(Dictation)
bullet文章のディクテイション
bullet単語のディクテイション

  まず、耳をつくるのが、会話の基本だと思います。赤ん坊を見てみましょう。音(声)を出すには、「耳で聞いてそれをまねる」ということをやっていますよね。小さい子供はおかあさんに言われて一生懸命同じ音を出そうとします。この時に使っているツールは、目でも、手でもありません。耳だけです。耳で聞いた音を自分の音と同じになるように練習します。だから、会話で発声(発音)がうまくなるようにするには、耳作りが最初だと思うのです。

  音声言語学者は言います。「耳が母国語として聞き分けられる能力を備えるのは、5歳までである。」ピアノなどでも言われます。「3歳までに始めないと一流のプロの演奏者には成れない。」・・・ ちょっと考えてみてください。英語を使う場面を持つ「ビジネスのプロ」は、「英会話のプロ」と同値ではありませんね。あなたが「英会話のプロ」をめざすなら、20歳を越えているとちょっと難しいのかも知れません。でも、ビジネスシーンに「ツールとしての英語」が必要なビジネスのプロなら、ツールを手に入れることはできるはずです。

  さて、耳から入ることに同意してもらえたとして、どうしたら耳が作れるでしょうか?「○○日で聞こえるようになった!」とか「この画期的な技術は短期間で・・・」というのは、冷たい言い方ですが、私はできないと思います。もし仮に実用に耐える品物なら、数百万円出しても安い買い物だと思います。*1もちろん、そういう教材やツールで使わなかった時より期間短縮ができたり、理解の促進に繋がることはあるかも知れません。でも、言葉を覚える天才の子供達でも、とても日の単位で耳が作れるとは思えません。実際、私の子供達は、ネイティブが感じる日本語のアクセント(イントネーション)が消えるまで1年以上かかりました。

  ちょっと脅してしまいましたが、時間がかかることを受け入れてもらいたいのです。だからこそ、目的意識とスタートの時期が大切であると思います。さて、ディクテイションですが、ディクテイションとは耳で聞いてそれを筆記することです。でも、よく考えるとディクテイションには2つのタイプがあります。1つ目は、文章のディクテイション。♪When I went to small town....などと英文を聞いたとおりに「When I went to small town....」と書き取るのです。この場合は、知っている単語がならんでいると、耳に入ってこないものを補完して完成させることができます。これは、日本語でも普段やっていることです。車の中でラジオを聞いていたら、雑音が入って部分的に聞こえなくても、ちゃんとした文章に戻すことができると思います。これと同じ理屈で、英語でも先の文章で例えば”to”が聞こえていなくても補完して文章を完成できるということです。

  もう1つのディクテイションは、単語のディクテイションです。知らない単語でも、標準則に則った単語なら、アルファベットは表音文字なので、書き取ることができるはずです。日本語でも♪蜻蛉という漢字は同音異義語(陽炎)があるので聞き取って書けなくても、カナで「カゲロウ」と書くことは簡単ですね。これが単語のディクテイションです。

  1つ目の文章レベルのディクテイションができるようになってくると、文章を話したり、書いたりすることが容易になってきます。 文章を推定する力が、文そのものを作る力となってきます。個人の持つボキャビュラリーの厚みにもよりますが、数ヶ月〜1年もトレーニングすると目に見えて違ってくると思います。

  2つ目の単語レベルのディクテイションは、耳作りのGoalにするといいと思います。私の経験等からは、大人の場合、アメリカに住んで1日8時間程の強制英語環境*2で3〜5年程度かかる感じです。語学留学で必死にやった人なら1年でできるのかもしれませんが、フツーの営業関係の駐在の方だとこの程度の時間を要するだろうと思います。このディクテイションができるようになると発音が目に見えて変わってくるはずです。アルファベットは表音文字です。正しい綴りの聞き取りができるということは、正しい発音ができる可能性を示します。

  アメリカに渡ってきたときに仲良くなったアメリカの友達に言われました。「お前はスペルアウト(ディクテイション)ができないのにどうやって辞書を引くんだ?」 もっともな話です。耳で聞いてスペルアウトできないのですから当然辞書は引けないだろう。どうやってその貧弱なボキャビュラリーを補うんだ?という感じでした。言われてみればもっともな話ですが、私にしてみれば、LとRが間違っていても間違える可能性は判るわけで、両方を引くことができます。でも、同様にBとV、SとSHとTH、AとEなど間違いやすい罠は沢山あるわけで文字数が増えるとそれだけ組み合わせが増えて正解を引き当てるのが難しくなります。一方、ネイティブスピーカーの目からは、子供でもできることと感じているはずです。日本語で考えてみてください。「ガッコウ(学校)」と「カッコウ(格好)」を間違えたりしませんよね。

  英語の音が聞こえてくるまで時間はかかりますが、継続は力なり。気長にやっているとそのうちあるとき、アレッって自分でも感じられるときがきっとくると思います。判然と聞いているのと違って、ディクテイションでは集中が得られるので、是非お試しあれ。

05/13/03

*1 短期(仮に1ヶ月以内)で英語を聞く耳が完成するなら、数百万円でも安い根拠

日本で一番英語の音を学べる方法の一つに英会話学校でネイティブスピーカーに教授してもらう方法があります。この方法で、映画(日本のアニメの英語吹替版でもOK)を字幕なしに見て、全ての内容を聞き取って理解でき、説明できるようになるのに何年かかるでしょうか? (相場はまったくしらないのですが仮に)1時間2000円で週に5時間だと、年間52万円です。3〜5年ほどかかるなら、150〜250万円です。時間価値を考えると数百万円は言い過ぎでないと思います。
別の方法で語学留学したとしましょう。1年間の留学で、多分真面目にやっていれば、普通の映画程度なら字幕なしで楽しめるはずです。生活費+渡航費+授業料を合わせると、やはり100万単位の費用がかかりそうです。でも、この方法が一番手っ取り早いですが・・。

ちなみに・・・アメリカ駐在、時々お客さんに会う程度で、夜や休日はもっぱら日本人とのお付き合いをしている場合、1年程度ではTELでまともに話ができないなんてことはざらにあります。(もちろん、大雑把には理解できるとは思いますが、それでは少なくともビジネスのプロではないですね。)駐在家族の小学生でも、非ネイティブ向けの英語クラスを卒業するのに2年程度かかっています。(カリフォルニア州ベイエリアの場合)アメリカの小学校は、1日4〜6時間程度で年間200日程度ですから、小学生の子供だと1500時間〜2500時間程、英語の環境に浸ると染み込むようです。

*2 強制英語環境

アメリカに住んでいても、日本人ですから必要のない時は日本語で生活しています。ずっと住んでいると、ふと気づくと英語で思考していたりしますが、住み始めて1,2年ではなかなかそうはなりません。そういう言語が2重の生活環境で、学校とか会社など英語を使わなければならない状況下にある環境を強制英語環境と名付けました。日本でも英会話学校に行っていたり、大学の英語科などでオール英語環境なんて言う状況があれば、擬似的に 強制英語環境の状態であると言えます。擬似的にの意味は、ネイティブスピーカーの音の量と視覚情報の多寡が日本国内とアメリカでは(もちろん例外はあるとは思いますが)全然違うことを指します。

 

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07/16/03 Updated
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